■「不誠実な行為」…学生から不安の声
5日、東京・池袋。就活生からは不安の声が上がりました。
大学4年の就活生(21)
「だましてるってわけじゃないですけど、あまり良い印象はないですね」
就活生(24)
「実際それをされても分からないし、怖いなっていうのはありますね」
就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートは5日、就活生に対して不誠実な行為があったとして謝罪しました。大学生向けの就活セミナーで、社員が学生のふりをして質問する、いわゆるサクラ行為をしていたことを明らかにしました。
リクルートによると、サクラ行為があったのは一昨年4月から去年10月までの、コロナ禍に開催した大学生向けのオンラインセミナーでした。
質疑応答の時に「オンラインのイベントは出入り自由ですか?」「イベントには私服で参加しても良いですか?」などと、社員が学生のふりをして質問を書き込みました。
■サクラを推奨するようなチャットも
リクルートのチーム内で事前にサクラ役を決めて質問させたり、「講師」と「質問する学生」の1人2役をする人もいたといいます。社員同士で「サクラ」と表現し、少なくとも20件確認されたと明らかにしました。
さらに、社内のチャットで一部の上司が「質問はまずサクラ仕込んでね」とサクラを推奨するような書き込みをしたり、社員が「サクラのみなさんに救われました」と投稿したりといったやり取りもあったといいます。
■担当者「質問しづらい雰囲気だった」
サクラ行為の理由についてリクルート担当者は「セミナーがオンラインでの開催となり、学生の皆さまが質問しづらい雰囲気だったため、質問しやすい雰囲気作りのきっかけとして、過去の代表的な質問を投げかけていた」と説明しました。
その上で、学生のふりをしたこと、「サクラ」などの不適切な表現をしたことについて謝罪しました。
就活生に受け止めを聞くと、最初に質問してくれることには理解できる、という声もありました。
大学4年生(21)は「(質問が)1番目だと厳しいところがある。『これ質問しても大丈夫なのかな』って不安がちょっとある」。別の人が最初に質問すると、その後に質問しやすいかどうか聞くと、「自分的にはあります」と言いました。
一方で別の大学4年生(21)は、「そこまで用意周到にする必要はないのかなとも思うし…。どの場面でいるか分からないので。(会場に)いるんじゃないかなと思っちゃいますね」と疑問や心配を口にしました。
■専門家「企業への信頼問題に関わる」
企業のリスク管理を行う専門家は、企業への信頼問題に関わる行為だと指摘します。株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズの藤井裕之代表取締役に聞きました。
「(リクルートは)大きな企業で非常に有名なところです。就活生に寄り添って、100%就活生の味方として振る舞ってくれるだろうと、みんなが全面的に信頼している中で行われている。そういった信頼に応え切れていないのが一番の問題点なのだろう(と思います)」
「『よくある質問に対しての回答を先にお話ししますね』と断って、いろんなお話を先にしてもらうことで、こういったサクラのようなことをしなくても、皆さんが質問しやすいような雰囲気を作る方法もあったのでは」
(2023年6月5日放送「news zero」より)
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