こうした“替え玉受検業者”が摘発されるのは全国初です。
捜査関係者によりますと私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕されたのは、京都大学の大学院を卒業し、関西地方の大企業に勤める大阪市の田中信人容疑者(28)です。
田中容疑者は今年4月、就職活動中の20代の女子大学生から依頼を受け、企業が採用時に実施している「適性診断テスト」のIDとパスワードを受け取り、インターネットから不正にログインし、替え玉受検をした疑いがもたれています。
取り調べに対し、田中容疑者は容疑を認めているということです。
警視庁は女子大学生も22日に書類送検する方針で、事情聴取に対し「自分の力では受からなかったので依頼した」と話しているということです。
「適性診断テスト」は文章の読解力や計算能力などをはかるもので、捜査関係者によりますと、女子大学生は田中容疑者に20社ほどの企業のテストの受検を依頼し、一部の社は通過しましたが、いずれも内定前の選考で辞退したということです。
田中容疑者は女子大学生から1科目あたり2千円、あわせて10万円以上の報酬を受け取り、今年に入り7月までに同じ手口であわせて300件ほどの依頼を受け、総額400万円以上を稼いだとみられ、警視庁は余罪を調べています。
田中容疑者のツイッターのアカウントには「請負経験約4年、1人で計4000件以上」「通過率95%以上」「ZOOM画面共有も可能」といううたい文句が書かれていていました。
今年6月、JNNが田中容疑者とみられる人物に替え玉受検についてメールで聞いたところ、「人の心の助けにもなる」と返信がありました。
田中容疑者とみられる人物からの返信
「繁忙期の3月とかは1日30件近く受けてた時もありました。コネ入社や裏金入社が蔓延る現状をみると、別に悪いことだとは思わないですし」
「以前テストで落とされまくって鬱病になり、自殺寸前まで行った方を見たことがあります。その方の代行をして結果就活がうまくいき、生き生きとした生活を取り戻されたところを見ると、私としてはすごくやりがいを感じましたし、人の心の助けにもなると思っています」
一部の学生の間では、“webテスト代行業者”と呼ばれる田中容疑者のような人物や組織による替え玉受検が横行していて、警視庁によりますと、全国初の摘発だということです。
採用活動の調査を行う業界関係者はー
リクルート「就職みらい研究所」栗田貴祥所長
「自分の希望通りに最初に就職できるかということは非常に大きな関心事。そういった心持ちにつけこみ『替え玉受検することはそんなに大きな問題ではないんだよ』といううたい文句で不正行為に走らせてしまうというようなことは感心できない」
「企業は適性検査を入社後の配置や受け入れフォローにも使用していて、不正行為をして自分を着飾ってまで入社しても、個人の方にとっても企業にとっても、非常に不幸な形になる。個人が自覚を持ち行動していくことが重要」
今回の事件は不正行為の“氷山の一角”とみられ、警視庁は実態解明を進める方針です。
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