Review 『リトル・フォレスト 夏・秋編』

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liforest

小森。東北の山間部、盆地にある村。山から降りてくる湿度100パーセントの空気が小森の夏の空気だ。
買い物できる所は農協スーパーくらいのもので、車で1時間くらいのところに郊外型スーパーがある。でも、そこまで行かずとも日々の暮らしは成り立っている。

主人公・いち子はこんな村で暮らしている。街で暮らしていたこともあったが、訳あって戻ってきた。物語はいち子が村に戻ってきた後の1年を夏・秋・冬・春の4編に分けて描く。

主人公を演じるのは、「あまちゃん」、「若者たち2014」に出演し、次第に輝きを放ちだした橋本愛。料理をする要領が手際よく自然に見えたのは「ドキュメンタリーの様に撮りたかった」と言う森淳一監督の意向の表れのようだ。食べる時のシーンでは食べる音がきっちりと聞えるほど近く、美味しそうな音と表情が映し出されている。

ストーリーは緩やかに進む。小森の日々の暮らしと自然、そしてその自然から得た食べ物を使った料理を通して、いち子と小森の人々が描かれている。いち子は一人暮らしながらも、夜は”夜の訪問者”たちが訪れる。常連の中には窓にあたる羽音だけで種類を言い当てられてしまう者もいる。夏日に滲みる米サワーの発酵が進んだらユウ太を呼んでごちそうし、寒くなってくれば炙った干し芋をお茶うけにご近所さん達と炬燵でおしゃべり。

一人暮らしだけど一人ぼっちじゃない暮らし。

劇中では米サワーをはじめとして、いち子のナレーションで調理を解説しながら様々な料理が登場する。いち子の料理のオムニバス映画とも言えるくらいに次々と。
夏編のメニューに登場するストーブ・パンは環境に合わせて暮らしていることを象徴するメニューで、作る理由はおもしろく、出来上がったパンも美味しそうだった。他にもミズとろろ、あけびのサブジ風といくつの料理が登場しただろうか。メニューを考えて食材を選ぶと言うより、食べごろを考えながらメニューを考えだすという感じ。「これからの秋の季節、くるみごはんと栗の渋皮煮くらいは町に暮らしていてもできそうだから試してみよう。」そう思えてしまうほどに作り方は難しくない。ただし手間が掛かるので計画倒れになる場合もある。

”田舎暮らし”という言葉がある。羨ましがる人も多いけれど、実際は不便な事がたくさんだ。でもこの不便さというのは、少し昔だと当たり前で誰でもそうして生きていて、できないという事はない。慣れてないだけ、ベランダ菜園とか干し柿を作るとか少しずつ暮らしに取り込んでいけばいいのだと思う。

次回は冬と春の小森が描かれる。どんな料理が登場するのかはもちろんのこと、いち子の行く末も気になるところ。
冬・春編は2015.2.14に公開。

 

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