『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』-英雄も、クソ男も、同じ人。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on TumblrShare on Google+

CIvj9NDVEAEbhUW

トム・ハーディ主演作が、いま3作同時に観られる。
『マッド・マックス』、『チャイルド44』、そしてこの『オン・ザ・ハイウェイ』である。
しかし、どうも『オン・ザ・ハイウェイ』の扱いが不当に感じられるので、一筆とることにした。
快作である。

舞台は86分間ハイウェイを走る車内のみ。
登場人物は電話の声を除いてトム・ハーディ演じるアイヴァン・ロックのみ。
ひっきりなしに続く電話に出る際に名乗る彼のファミリーネーム「LOCKE」が原題である。

ストーリーの骨格は、仕事も家庭も充実した男が、一夜の過ちの結果として危機に立たされ、
できる男の無神経(サイコパス的なもの=MAD)で対応がどんどん裏目を見せながらも、必死にプライドを保とうとするというものだった。

(都市高のある福岡で)なぜあまり流行っていないのかよくわからない傑作だが、
もし約1時間半でずっとトム・ハーディしか出ないことに懐疑的な方がいたら、ちょっと待っていただきたい。
トム・ハーディの真骨頂はなにか。「メリハリ」である。怖いかと思うとかわいい。かっこいいかと思うと野暮ったい。
ピエロのような彼の変化が、映画を全く退屈にしない。
とはいえ、もはや体格も主張している持ち前の安定感で、ピエロのようにどこかへ飛んではいかないので、
しっかり共感の対象となり得るところも1時間半観客の心を繋ぎ止めるポイントである。

つまり、風景もほとんど変わらず回想もない1シチュエーションドラマにも関わらず、
トム・ハーディに入れ込みつつ、裏切ってもらえる非常にまとまりのいい映画なのだ。

数人の電話の相手(車内スピーカーで会話は聞こえる)がひっきりなしに入れ替わる、
しかもうまいところで切れたり次の着信が入ったりするなど、
しっかり想像を車外に飛ばしていく余地も用意されている。

終盤、どんどんトム・ハーディのお説教が臭くなってきて、
終いには映画を間違えたような台詞を笑いながら連呼するあたりはもはや快感。
イギリス人があんなに「Fuckin’~」を使うことが演出なのか普通なのかはわからないが、とにかくどんどん増えていく。
そうしてだんだん心が折れかけていく様子は弾丸の雨に立ち向かう戦士のようだが、
どこまで行っても一人相撲なところが全然かっこよくないので、救われない。虚しい。

福岡市内ではキャナルシティで夜の1回のみ上映されている。
かなりの意欲作だが、仕事帰りに観に行っても重くないなかなかいい映画だし、
パンフも買わなくてよさそうなお金のかかっていないさらっと映画は、じめじめした夏には気持ちがいい。
そんな爽快感を以って、本作を快作、としているわけだ。
明日、行ってみましょう。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>