『炎628』-来たりて見よ、「戦争」を(前)

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念願の『炎628』を観た。
念願だから、「観た!!」と言いたいところだけど、この映画はそんなテンションでは語れない。
凄まじい衝撃だった。

 

『炎628』は1985年製作、ロシアの戦争映画。
第二次大戦期の旧ソ連、ドイツ占領下にある白ロシア(現ベラルーシ)が舞台で、
パルチザンに志願した少年の動向をカメラが追う。
映画後半に登場するシーン、ナチス特別行動隊『アインザッツグルッペン』の凶行で特に知られる。

 

映画ファンの間ではカルト化している本作、「とにかくヤバい」と聞いたのはしばらく前のことだった。
その時は廃盤になっていて、マーケットプレイスで手が出ない値段がつけられていた。
そうして悶えていると、再発した。レンタル店で新作の棚を漁っているとき、『炎628』のタイトルを見つけて
「え・・・おーー!!!」と心の中で叫ばずにいられなかった。やっと観れる日が来た!!
すぐに手にとり、帰宅した。しかしなかなか再生する気になれない。
時間は十分あったけど、結局レンタル期間内に観ることができずに返してしまった。
以来、これをたびたび繰り返す。

 

一つはDVDを借りるとき、貧乏根性で数枚借りてしまうというのがある。
ついつい、コメディだったりアクションだったり、観慣れたものを優先して観てしまう。
しかし、それよりもこの映画の鑑賞を阻んだのは、「相当な衝撃を受けるに違いない」という確信に足る口コミ、パッケージが発する異様な雰囲気、そして『炎628』という、意味の掴めない、なにかヤバい気がしてならないタイトル。
観るのに相当な覚悟が要ったのだった。
そして観たらしばらく再起不能になる気がしてならなかった。

 

そうこうしているうちに就職してしまい、ますます手が出せなくなった。
平日に観て翌日に引きずるのはつらいし、かといって貴重な土日を「ああ・・・」と布団に突っ伏して過ごしたくはない。
そういうことができた時期はもう過ぎてしまった。

 

しかし先日、とうとうそのタイミングがやってきた。
公開したばかりの『海街diary』を観に行こうと席を押さえた。
万全の体制で観るため、仮眠をとり、寝過ごした。
実は今回が初めてのことではなく、『マイティ・ソー ダーク・ワールド』で一度やらかしたことがあるのだが、
これは本当に絶望的な気持ちになる。
前回は後輩と1日で映画を5本ハシゴする予定で、『マイティ・ソー』は朝一の一本目で起きられなかった。
けれど『海街diary』は夕方の回。こうなると申開きのしようがない。
「なぜ寝たのか」
後悔や自責の念が絶えず、これ以上辛いことなんて・・・と一瞬思った。
その時。

 

「いまじゃないか、『炎628』を観るのは・・・」

 

脳裏に過った。

 

よく「鬱系映画は精神状態が健全な時に観ろ」というが、どうも納得しがたい。
せっかく健全なのだから、健全な時は健全でいたいと僕は思う。
そうではなく、絶望しているとき。
落ちているときにはさらに落ちてしまいたくなるものだ。
かくして幸か不幸か、念願の『炎628』を再び手にとる機会が訪れ、ようやく鑑賞した。

(つづく)

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