【Guest Article】「マーカスのライム、ジェイデンの物語。」-『ショート・ターム』

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各所で涙がこぼれた。あふれた。でも、なにより驚いたのは、エンドロールのラップが始まった瞬間、堰を切ったように、泣いていたこと。

普段は奥の方で寝かしつけられている、心の一番やわらかい部分が、むくっと起き上がって、叫んでいる、むき出しになっているのを感じて、しばらく呆然としていたのを、私はずっと忘れないと思う。

それ程、この映画は切実なものだった。

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18歳の誕生日を迎えるのを機に「ショート・ターム」を出なければいけない、物静かで繊細なB-boyマーカス。父親からの虐待を受け心を閉ざして強がる、才気あふれて賢いジェイデン。彼らの紡ぎだす自らを救うべく生まれた芸術にはとりわけ、鳥肌が立つほどの圧倒的な迫力があった。彼らが自ら生きようと立ち上がるまでの道筋は、苦しいけれど私に希望をくれた。どんなことがあっても、矜持、みたいなものをしっかり持って、求めて、ぶつかっていく2人の姿の描きかたは、今まで観たあまたの同じようなテーマを扱った作品とは一線を画す。これは特殊な状況下にいる被害者の物語ではなく、あなたの物語なのだよ、と。誰かを愛するとは、救われるとは、どういうことなのか、と語りかけてくる。

 

主人公グレイスを演じるブリー・ラーソンへのインタビューに、この映画の核心をついている一説がある。

“グレイスは実際には複雑な女性だ。それは過去に虐待を受けていたせいなのだが、そうした事実はオーディエンスにはー彼女のもっとも親しい者たちにもー映画の終盤まで明かされない。ラーソンにはそうした展開がとりわけ魅力的に映った。「どんなキャラクターであれ、私にとって一番の楽しみは彼らの秘密なの」と彼女は説明する。「だから秘密に心を蝕まれ、壊れてしまわないよう必死で踏ん張るキャラクターを映画の最後まで演じるというのは、私にはすごく面白そうに思えた」。「そうした演技の迫力はものすごく新鮮だった。とりわけ、“語られることより、語られないこと”を描こうとする映画においてはね。こうした物語はより長く、人の心に留まりつづける。なぜなら、私たちの不安のツボを突いてくるから。それが一体何であれ、この世には語られない真実がごろごろしているということを、観客に気づかせてしまうからよ」”(「ショートターム」パンフレットより)

極めて脆い自分と、肝の据わった強さを同時に抱え、その境界線上を綱渡りしている女性グレイスをみごとに演じきって、彼女に潜っていったブリー。「クソ賢いね」って、あなたのこと!

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映画館の暗闇、スクリーンを前に、私たちは“語られない真実”と向き合う。

語られないけど、心はきっとそれを感じる。

映画の魔法…扉は開いております。

http://shortterm12.jp/

 

ユナイテッドシネマ・キャナルシティ(http://canalcity.co.jp/cinema/)で絶賛公開中。

17:15~19:05 (11/22(土)、23(日))

17:30~19:20 (11/24(月)~27(木))

14:40~16:30 (11/28(金))

 

 

 

Guest writer:Yuuki

profile:KBCシネマ勤務。
映画、jazz、HIPHOP、本、大好き。

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